子供たちは挫けない、ダーカ
子供たちは挫けない、ダーカ(2003年2月27日)
CTAのロナルドは教室の入口に一番近く胡座をかいている少年の粗末なシャツの袖を少しまくり上げた。指の先が欠けた小さな手にちびた鉛筆が握られていた。レプラだった。
21世紀となった今、栄養不良のせいか6歳という歳の割には幼く見えるカセムに、運命はこのような重過ぎる十字架を背負わせた。少年のノートには、ベンガリーズを知らない私にさえ稚拙に見える太い字がそれでも両ページ一杯に書いてあった。
東テスツーリバザール(East Testuri Bazar)地区の多目的センターはインフォーマルセクターでの児童労働廃止の期間限定プログラム(Time-Bound Program for the Elimination of Child Labour)の対象施設の1つで、オランダ政府の4.7百万ドルの拠出で2000年10月から開始されている。センター内では、特に危険有害な労働に従事していた地区のカセムのような児童に基礎教育の機会と、その親(概ね母親)に対し、収入を得る技術、簡単なプリントシャツやデザインした織物の製造などの実際的な訓練を行っている。
バングラデシュは世界の最貧国の1つである。面積、14.7万平方キロ、人口1.3億人で、人口密度は逆に1平方キロ当り834人という世界のトップクラスである。国民1人当り総生産は2001年で1610米ドル、人口の36%が1日1ドルのポバティーライン以下である。総労働力の12%は年齢5歳から14歳の児童労働者である。労働力調査によると、総労働力は6千万、うち自営32.3%、被雇用者13.7%、日雇17.6%、家内労働者(賃金は払われていない)36.6%で、失業者は220万と推計している(2000年)。失業率のこの意外なほどの低さは、「過去1週間に1時間以上賃金を支払われる労働に従事した者」を総て「失業者」から除外していることによるものと思われる。計画委員会(Planning Commission、企画庁に相当する。)は週労働時間35時間未満の潜在失業率を35%と推計している。インフォーマル部門の比重は大きく、都市部で59%、非都市部で73%である。総労働力の32.2%に当たる2280万は女性である。しかし女性労働者労働参加、賃金及び他の労働条件といったあらゆる面で根強い差別に曝されている。
1991年8月、バングラデッシュは議会制民主制度に移行した。2001年10月の総選挙においては、時の野党であった4党の連合体であるバングラデッシュ国家党(Bangladesh Nationalist Party)が与党のバングラデッシュアワミ連盟(Bangladesh Awami League)を抑えて圧勝し、以来BALは議会でのボイコット戦術を多用し、ことごとに与野党の対立が民主的議会運営を困難にさせ、現在に至っている。
労働関係は労働雇用省と国外雇用福祉省の2省が担当している。バングラデッシュは7つの基本条約を含む33のILO条約を批准している。労働行政の当面の課題の1つは労働法制の改革で、現在改正のプロセスは最終段階に入っている。さらに、国内6箇所、11万人の労働者が働いている輸出工程地区(Export Processing Zone)での労働基本権制限の解除が近く実施に移される(2004年1月予定)。
政府は1980年代以降段階的に毎年赤字を計上している国有企業の私有化を進めているがはかばかしく進んではいない。このような動きの中で、2002年にはアジアで最大といわれたジュート(麻袋)工場であるアダムジージュート工場1.5億ドルの負債を抱えて閉鎖を余儀なくされ、3万人の労働者を解雇するにいたった。
使用者団体としては、バングラデッッシュ使用者連盟(Bangladesh Employers Federation)が使用者の9割以上を組織化している。労働組合は、全国レベルの団体が22あり、そのうち16が労働者教育全国協力委員会(National Coordination Commission on Worker’s Education)という比較的結束の弱い団体を構成している。
バングラデッシュで最も重要な労働問題は、実質的な雇用の早急な創出である。


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